昔の物語 ものかきになろうと思った顛末(後編
「天才? そんなの大昔の負け犬が作った言葉だろ。俺とは違う。奴は“特別”だってな」
(「ヴァルキリープロファイル」より)
地が与えた才ってないんですかね。
前回の続きになります。
17歳の秋頃、ネット上にてUと知り合った。聞くところによれば、Uの住まいは私が住む熊本県の隣県であり、しかも住む同い年の学生だということが発覚。陰気な私とは違い、Uは運動しつつ書物を読み、日々習作に明け暮れているのだという。
同い年だということもあってか、自分たちはすぐ意気投合。近況報告など他愛ない話など、ネット上の某オンラインゲーム内で午後10時から、明くる日の4時まで話し明かしたりするのもざらだった(某オンラインゲームは現在サービス停止)。
中でもとりわけ、小説に対するUの認識、考えは「お前本当に学生か?」「お前そろそろ悟り開くんじゃね?」と疑うような形で、とにかく飛び抜けていた。その頃私が好んで読んでいた小説といえば乙一や桜庭一樹、筒井康隆、恩田陸などの作品を読んでいた。参考↓
著:桜庭一樹「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない―A Lollypop or A Bullet」
漫画版もありますよ!
そんな自分に対し、Uが読んでいた作品はなにかと聞けばドストエフスキー、トルストイ、ナブコフ、ガルシアといった文学界きっての大物著者ばかりの作品だったのである(震え
とりあえず参考↓
著:フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー「罪と罰〈上〉」 (新潮文庫)
著:レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ「アンナ・カレーニナ〈1〉」(光文社古典新訳文庫)
著:ウラジーミル・ナボコフ「ロリータ」 (新潮文庫)
え、なにこの人ぶっ飛んでる(;゜Д゚)(もちろんいい意味で)
1人1人個性は違えど、同じ学生でここまで嗜好が違うものなのかと当時はただ驚くばかりでした。その影響からか、Uの作品にはエンターテイナー性はもちろん、作品の中にあるテーマを通し、読み手に対し「問いかけるスタンス」を取っていたりと、今の私にも欠けている持ち味を駆使していたんでもう嫉妬の嵐でした(--;
それまではただ単純に文字を打ち込んでいた自分ですが「エンタメはともかく、自分が作った作品を通して何かを伝えられたらいいな」と思い始め、読み手側のことも意識し始めるきっかけになりました。今思えば、自分が未だにこの趣味(妄想?)に執着している理由の一つは、それなのかもしれません(・・;
そんな私とUは時に作品を通し牽制し合い、時にはアドバイスを求めたりと切磋琢磨(でも終始Uがリード)しながら少しずつ時間が流れ、現在。
少し端折りすぎましたが、こんな形です。現在Uとは連絡を絶っていますが、突然着信が鳴ったりしないかと内心ビクビクしているこの頃……。